きんちゃんBOX

プロスキーヤー遠山巧のどんどんマニアック系フリースキーブログ◎

2015年01月 | ARCHIVE-SELECT | 2015年03月

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パークアイテム研究室。良いキッカーとは?後編。

少し間が空いてしまいましたパークアイテム研究室。

今回は前回の続き「良いキッカーとは?」後編に行きたいと思います。

前回は利用者側である、初級者、中級者、上級者それぞれにとっての良いキッカーについて触れました。
今回は管理者側である、ディガー(ピステンオペレーター)とスキー場にとっての良いキッカーについて考察して行きたいと思います。

今回の内容に関しては、自分が体験した事のない立場です。
本職の方には不快な思いをさせてしまうかも知れません。

今回もあくまで、個人的な見解という事でよろしくお願いします!


■ディガー(ピステンオペレーター)
キッカーのみならず、パークそのものを造成し日々管理してくれています、ディガーさん。
まずはどんな作業をしているかを確認して行きましょう。

ピステンでの作業は
キッカーの土台作り
キッカー作り
ジブの土台作り
など人の手では到底動かせない雪をゴイゴイ動かします。

そしてディガーと言われる人たちの作業は
キッカーの最終的なシェイプ
ジブの取り付け(穴掘り)
積雪時のアイテムの掘り起こし
毎日のアイテム整備
など毎日これをやるのはしんどそうだな、という作業です。

華やかなパークの印象とは裏腹に、その作業はかなり地味で肉体労働に近い物があります。

前回の「良いキッカーとは?前編」を読んでくれた方の中には「ディガーが悪いんだ!」と思ってしまった方もいるかと思います、これに関しては反省です。

間違いなくほとんどのディガーチームがキッカーに限らず良いパークを作ろうとしていると思っています。

パークライディングが好きでディガーになったという経緯の方が多いはずですからね。



ではまず前回の話を踏まえて、良いキッカーを描いてみます。



blog10.png
キッカー角度30°、ランディングは斜度35°、ゲレンデ斜度15°。

今までの内容を踏まえて
・一定のアールのキッカー
・怖さを軽減するテーブルトップ形状
・痛くないランディング斜度
で図を描きました。キッカー角度30°は俗にいうアップ系ですがw

ただ、実際にこんなキッカーはなかなかお目にかかれません。
それでも良いキッカー作るのが仕事でしょ??
と昔のおれは思っていましたw

まずキッカーを作る上で何が必要になってくるかというと

「雪の量」これにつきます。

テーブルトップが安全で良いのはすでに周知なのです。
ランディングが長くて斜度があるものが安全なのも周知なのです。

それを作る事自体は可能なのですが、、、
かなり極端な話それをしてしまうと、3月頭にはコース自体に雪がなくなってシーズン最後までパーク全体を維持出来ない可能性が出て来てしまうんです。

fc2blog_2015020304293295c.jpg

海外の20メートル級のキッカーの土台。見るからにすごい量の雪を使っているのがわかりますよね?
この量の雪になると、下手したらコース中の雪を集めても作れないかもしれません。

・一定のアールのキッカー
・怖さを軽減するテーブルトップ形状
・痛くないランディング斜度

この条件を満たしつつ雪も節約出来る形は
最近の調子いいと口コミで聞くパークに多いこの形です。



blog11.png


テーブルトップ形状からステップアップ形状にして、ノール(テーブルとランディングの間)を下げる事で雪を削減しつつ必要なランディングを確保しています。



blog12.png


この量の雪が確保できるだけでジブが付けれたりするわけです。

でもこの形、初級者用に良いキッカーではあまり良くないと言っていたテーブルの形なんです。
これは厳しい言い方ですがこのサイズのキッカーになってくると「ちゃんとランディングまで飛べる」というのが前提になってきます。しっかりランディングまで飛ぶ技術を身につけてから、この手の形のキッカーに挑戦してもらえると安心ですね。

飛べる人は飛べるんだからこの形でいいでしょ!という判断はもちろんあると思うし、ありだと思います。
本場アメリカのキッカーもこの形が主流ですからね!

もちろん安全に配慮してランディングはしっかりしてるので、変な怖さがないのが特性です。


すこし脱線してしまいましたが。
ピステンオペレーターは雪の使える量に制限があるなかで良いキッカーを作る、という事をしなくては行けないんです。

「じゃー降雪したら?」と思う方もいると思いますが、降雪ばかりはディガーの一存では決められません。

ここはスキー場の判断になってきますが、前にスキーヤーの藤田サイモンプロがゲレンデに対してのパーク比率は海外より日本の方が多いと言っていました。たしかにそうなんですね、既にパークに対して割と場所をとっている計算になるのです。

なのでスキー場利用者の中の何%がパークを利用しているか、というのもスキー場側としては当然考慮していると思います。
スキースノーボード人口の増加、パーク利用者の増加が良いパーク、良いキッカーの増加に繋がってくるんじゃないでしょうか。

「使える雪の中で、より理想に近づいたキッカー」がまずディガーにとっての良いキッカーになりますね。

そしてもう一点「維持のしやすいキッカー」が良いキッカーの要素になると思います。

先ほど述べた雪を一点にまとめすぎたらコースの雪がすぐ溶けて最後まで維持出来ないというのも、極端な話しながらこれになります。

世界的にみても降雪量が多い日本で、キッカー等人工物の形をキープしなくてはいけないのが日本のディガーの仕事の1つです。
フルリメイクから一週間もしないうちに豪雪なんて事も過去に何度も見てきました。

で本当に降りすぎると土台からつくり直したりすることが多いようですが
ここでポイントになってくるのが「土台の幅」の様です。



blog13.png


上の図のように幅の狭いキッカーで雪が積もった場合、キッカーをつぶして本当に1から作り直しになるんですが
下の図のようにピステンがキッカー脇を抜けれるとキッカーをつぶす事なく整備が出来るんですね。
降雪以外の日々の整備でも、このルートに入れるかどうかで整備の質が変わってしまうようです。

でここでもやはり使える雪の量や、コース幅などによって制限が出てきます。

そもそもパークにあまり力を入れていないスキー場になるとパーク整備のためになかなかピステンを回してもらえない事もあるようで、そうなると最初は良いキッカーでも降雪の度に形が崩れて行ってしまいますよね。

良いキッカーを作るスキルがあっても維持が出来ない、たまたまそのタイミングでキッカーを飛んだ人には調子悪いと思われてしまう事もあると思います。

本当に難しい立場がディガーだと思います。

そこでディガー(ピステンオペレーター)にとっての良いキッカーは
「使える雪の中でなるべく理想に近づけて、みんなが満足出来て、かつ整備のしやすい幅のあるキッカー」
とさせて頂きます。


■スキー場
スキー場にとって良いキッカー、これは今までの話の総括だと思います。

・利用者が満足感を得られる
・ケガなどのリスクが軽減されている
・雪も最小限ですむデザイン

ではないでしょうか?一番は利用者の満足度かな思います。
「良いキッカー(良いパーク)がある」というのがスキー場を選ぶときの1つの要素になってくる事が大事だと思います。
人も来ないのに雪や人件費をかける、なんていう風にはなかなか行きませんよね。

俺としては、良いパークがあってスキー場に人が増えた!なんてニュースが聞けたらめっちゃうれしいですね!
もちろん宣伝の仕方なんかもこれからはポイントになってくると思います。

ということでスキー場的に良いキッカーは
「ケガなくお客さんが満足してくれるキッカー」
とさせて頂きます。



という訳で「良いキッカーとは?」というテーマを2回に分けて考察してみました。立場の差はあれ、安全で安心感のあるキッカーというのがどの立場でも共通して言える部分かなと感じます。
どの立場が正しい、という事ではなく。それぞれの立場があるということを知っている事が今後大切になってくるかなと思いますね。

そのためにはやはりランディングが鍵になってくると思います。


という訳で次回は「キッカーとランディングの関係性」を考察したいと思います。
浮遊感という概念もここで登場します!お楽しみに!


では、おやすみなさい。




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